平安の秘仏を拝観
昨日の土曜日は仕事もお昼で終わったので、恒例の神社巡りを目論んでいました。ところが午後から東京は本降りの雨。一応御徒町駅で降りたのですが、歩きまわるとずぶ濡れになってしまう気がして断念。
気分を新たにして、上野の東京国立博物館で開催中の『平安の秘仏~櫟野寺の大観音とみほとけたち』展を観に行くことに。
滋賀県甲賀市にある櫟野寺(らくやじ)は、最澄が延暦寺建立のために良材を求めてこの地を訪れ、櫟の木に観音像を彫ったことが起源といいます。坂上田村麻呂が堂塔を寄進したという伝説もあるそうです。
ご本尊の秘仏十一面観音菩薩坐像をはじめ、重要文化財20体の仏像が今回東京へやってきました。櫟野寺は堂宇の大改修工事を行っているため、2年間は拝観できないそうです。そこで今回、すべての仏像の寺外初公開となったわけです。
秘仏十一面観音菩薩坐像は像高約3mと日本最大で、台座・光背を含めると5mを超えるそうです。ふくよかなお顔と優しい半眼、たくましい腕や分厚い胴体でどっしりと重厚な仏像です。10世紀の作品だそうですが、千年もの時を経ているとは思えないほど保存状態が良く、金箔もあまり剥げていないし、きらびやかな飾りも残っています。頭上の小さな十一のお顔はそれぞれ、慈愛や憤怒といった表情豊かなのですが、大きな欠落も見当たりません。
他の仏像もそれぞれ10~12世紀の作品で、地蔵菩薩もありましたが、圧倒的に観音菩薩像が多かったですね。時代によって目などのお顔の印象が違いますが、裳のひだの流れ方とか、耳の形とか共通点も多くみられるようです。写真こそ禁止でしたが、どれもガラスのなかではなく、間近で360°拝見することができました。また今回、音声ガイドを借りてみたのですが、特徴を簡潔に説明してくれて、便利だと感じました。
東京国立博物館は建物自体も重厚でとても素敵です。常設展も充実していて、特別展のついでではとても観きれません。彫刻の展示では神護寺の愛染明王坐像や浄瑠璃寺の地蔵菩薩立像なども出張されていました。
日本美術の流れでは、本当に観きれないほどの作品。これは、俵屋宗雪の襖絵ですが、数点を除きほとんどの作品が撮影可能でした。
街歩き、神社仏閣巡りも楽しいけれど、お天気に恵まれなかったときは、ミュージアムに方向転換するのもいいな、と思った一日(半日)でした。
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